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第35段 交際費は削ってはいけないが、使い方が問題
 テーマ 会計を活用して節税する) 平成14年9月23日

●交際費は経費になる

 交際費といえば、得意先に贈る花や持参する「手みやげ」など含まれるが、メインとなるのは飲食代だ。交際費は贅沢費だから、経費ではないという認識の経営者もいるが、それは間違いである。資本金によって、経費として認められる交際費の金額は異なり、次のようになる。

◆資本金1,000万円以下 400万円×0.8 年間320万円
◆    〜5,000万円 300万円×0.8   240万円
◆     それ以上 損金不算入

 中小企業の大半は、資本金5,000万円以下だから、年間240万円だとすると、月20万円が、経費として使える。不景気だと交際費を使う経営者が少なくなるが、ビジネスは人間関係で成り立っているから、ドライな関係よりも、いっしょに食事をして、酒を潤滑油としたほうが、スムーズにいく。

 交際費は利益の範囲内で調整しながら使っていくのが、うまいやり方だ。月次の損益計算書を見て、15万円の利益が出たら、交際費の枠を15万円とする。交際費を使わないと、利益の半分の7.5万円を法人税として払わなければいけないが、経費になる交際費を使えば、利益を減らすことができて節税ができる。しかも、交際費を使うことで営業をしていることにもなる。表現を変えれば、営業をしっかりするためには、交際費を削ってはいけないということになる。

●意義のある交際費のつかい方

 交際費は、闇雲に使っては意味がない。肉体的、精神的な快楽を与えることが接待ではない。何のために接待をするかを考えなければいけない。接待の目的は、営業を拡大することだ。

 二次会としてクラブなどに行けば、ホステスとの会話が中心となり、お客さんと話さなくなる。これでは接待ではない。本人だけが「接待をしたから、これで仕事がうまくいく」と思っているに過ぎない。相手は「また利用させてもらおう」といった程度である。

 きちんとした接待をするためには、18時ぐらいをスタートにして、フルコースの料理を食べ、きちんと話をして、10時半ぐらいで終わる。予算は一次会のみで、ひとり2〜3万円。

 お客さんに信頼してもらうためには、お互いを理解して、自分自身を売り込むというフェーズが必要になる。そのために交際費を使って、食事しながら、同じ時間を過ごすのである。その場で「自分の考えを、適切な言葉を使って、相手に理解させる」ことができなければ、接待の目的を果たすことができない。

 「利益を生まない接待をしても、意味がない」と心しておくべきだ。最悪なのは、「経費として交際費が使えるから、みんなで飲んでしまおう」ということ。こうした発想をする会社では、交際費は使ってほしくない。


 文責 山田 咲道 公認会計士・税理士
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