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第499段 誰が上に立つべきか
 (
シリーズ 人事を学する) 平成26年1月6日

管理職候補がどこにもいない!

 最近、顧問先と人事について議論することが多い。もちろん昔から多かったが、近頃とくに顕著である。何を議論するかというと、ひとつはどういう人材を採用するかという日常的に永遠のテーマ。もうひとつの大きなテーマは、誰を「部長・課長・係長」といった管理職にするかだ。
 自分の年齢が高くなっていることと、顧問先とのつきあいが長くなって信頼関係が構築されているためか、後者の相談を受けることが増えている。

 多種多様なお客さまと長くつきあっていれば、従業員の発言や仕事ぶりから、人となりを見抜くことができる。しかし、いざ推薦しようとすると、適した人材が見当たらず、頭を抱えてしまうのが実情だ。「みんなのために働ける人」が幹部として望ましいのだが、そういう人が少ない。推薦するに値しない人ばかりが溢れていて途方に暮れてしまう。

損して得を取る

 たとえば、部下が何かの失敗をして社長に報告するときに、ふたつのパターンがある。
「部下が失敗して、すみません」と言うか、「自分が失敗して、すみません」と言うか、である。上に立つ人は100%後者でなくてはならない。ところが、部下を守るべき立場にいても、ほとんどの人が「部下が失敗して、すみません」と言ってしまう。
 社長と一緒に部下を責めたら、部下は潰れていく。自分が悪いことにすれば、部下が社長から直接、叱責されることはない。部下の心持として、組織として上司が自分を守ってくれれば、その人のために一肌脱ごうという気持ちになるものだ。

 いまの時代は、給料を上げたい、昇進したいといった自分の利益だけを考え、損することを極めて嫌う傾向にある。「損して得取る」という考え方ができる人が減っているのだ。
 普通、部下の失敗を「自分の教育が悪いせいです」とかばっても、「男気がある」「筋がある」と好意的に評価されこそすれ、「そうだね、君のせいだね」と思われることはまずないはずだ。しかし、自信がないと、「自分のせいではない」と言わずにいられない。懐の深い社長からみれば完全にアウトだろう。
 逆のパターンもある。営業で好成績をあげた等、いいことが起きたときに、「実は僕がやれと言ったんです」と、上司が部下の手柄をとることがある。自分の成果を部下に渡さなくてはいけないくらいなのに、身勝手な行為だ。
 自己中心的で、ひたすら自分の利益だけを追い求めるような人が管理職になったら、ろくなことが起きない。役員も含め、管理職にふさわしい人がきわめて少ないのが現実だ。


 文責 山田 咲道 公認会計士・税理士
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