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第511段 通年採用の最大のメリット
 (
シリーズ 人事を学する) 平成26年7月7日

納得できないレベルなら採用しない

 昨年の大量退職者問題で、エース会計事務所のリクルート的な弱さが露呈したが、結果として問題点を見直すきっかけとなり、新制度の体制が整い、採用がスムーズになった。
 通年採用で1年中活動をしていれば、応募が来続ける。欠員が完璧に補充されていなくても、その体制で1年間やっていくと思うと辛いが、いつか人が入るという期待感や希望があれば、事務所全体のモチベーションがあがる。応募者の能力が納得できないレベルでも、優秀な人材を来月採れるかもしれないと思うと焦ることはない。

 当事務所では面接の段取りまでを事務の担当者に任せている。面接まで進んでいる応募者は全員、受験でいえばセンター試験を通っているレベルであり、社長である私の役割は面接の時間を工面し、全権をもって採用するかどうかを決定することだ。
 ひとつの道筋がきちんとでき、通年採用でそれなりの人が来てくれて、納得しない人は採用しないというポリシーで運用できれば、期待通りの人が入ってくる可能性が高くなる。するとトラブルが少なく、事務所内も落ち着いていくという好循環が生まれる。逆は逆になっていくだけだ。

キャリアプランを整える

 採用時期が年に1回と決まっていると、それにあわせて教育のカリキュラムが組まれているものだ。通年採用となると、ひと月ごとに新人が入る可能性もあり、ルールを根底から崩さなくてはならない。当初はたいへんな思いをするが、だからこそ、その部分をしっかりやっていかないとリクルート力が高まらない。いつ新人が入ってきてもキャリアプランが取れ、戦力化できる、そういう教育プランが必要となる。
 また、採用した人材がいつも当たりとは限らない。ダメな人には辞めてもらうことになる。そのために、試用期間を以前より長くして半年とするなど、慎重に対応する必要がある。

 注意深く採用しても、おかしな人は入ってきてしまうものである。新制度になっても、問題はやっぱり起きるだろう。だが、「いつでも採用できる」=「すぐに辞めてもらえる」と考えれば気楽である。もちろん労働基準法に準拠して、手順を踏んでいくことは言うまでもない。
 これまでは、入社したばかりの新人を教育のために厳しく叱っていた。すると、「うちの所長は厳しすぎる、性格も悪い、話がわけわからない」と辞めていくことになる。また、世間一般の常識である朝の挨拶ができない人とでもコミュニケーションをとって忍耐強く指導してきたが、通年採用なら我慢せず、辞めてもらえばいいだけだ。


 文責 山田 咲道 公認会計士・税理士
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