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■第620段 自社の強みをアピールする
（シリーズ ブラック問題を考える） 平成３１年３月４日
●人はお金で満足しない
私の事務所はブラック企業ではないが、いま採用に苦戦している。それは、給料が安いからだ。無理して給料を高く出せば、ブラック問題が発生してしまう。給料が安ければ、二人でやるべき仕事を二人でやればいい。しかし、給料の設定がべらぼうに高い医者などは収入が多い分、二人分を一人でやるしかなく、「ブラック」になりがちだ。
給料を高くして人を雇うという行為自体ですでに潜在的にブラック企業になる。給料には際限がない。いくら給料を高くしても人はお金で満足しないし、高くすればしただけ付加価値を出さなければいけない。お金は採用のときの誘引にはなるが、それで辞める人は少ない。企業として大事なのは、アディショナルの魅力をいかにつくるかだ。
●給与とは別の魅力をつくる
自社の強みは何かを考え、アピールできるものをつくっていく。うちの事務所では、職場環境などで魅力をカバーしている。東京駅に近かった事務所の引っ越し先を、築地駅から徒歩１分の場所に決めたのもそのためだ。駅から遠い立地を避け、「トイレがきれいで男女別で自社専用」という女性陣の希望を受け入れ、いまの事務所を構えた。一人一人の職場空間にも通常の企業の倍くらいのゆとりを設けている。
女性に対しては職場やトイレがきれいなことが私の事務所の強みだが、男性に対しては野球部があることだ。ホームページにも載せているが、平日の就業時間を使って練習することもある。男性は全員参加が基本で、丁寧に教えるので、楽しくプレイできるようになる。給料は高いが、不便で、狭く、ブラックな職場環境をつくるか、給料はそこそこでも、楽しくわきあいあいと働く快適な事務所をつくるか、という志向の差だ。
箱根駅伝で史上６校目の４連覇という快挙を成し遂げた青山学院大学陸上競技部のように、強固なブランドを構築すれば人が集まってくる。そこを志さないと、高い賃金を支払うばかりになり、ブラック問題は決して解決しない。
文責 山田 咲道 公認会計士・税理士
中央区の税理士 エース会計事務所 会社設立できる公認会計士 東京都
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