■第699段 日産自動車凋落の本質を問う
(シリーズ 取締役会とは) 令和4年7月4日
●取締役会の機能不全が招いた悲劇
日産自動車カルロス・ゴーン前会長は金融商品取引法違反(有価証券報告書虚偽記載罪)容疑で東京地検特捜部に逮捕され、特別背任罪で追起訴された。保釈中の2019年12月に日本からレバノンに密出国した逃亡劇が世間を賑わせて久しい。
ゴーン氏一人の犯罪のように低次元の議論が先行し、ゴーン氏を捕まえて懲罰する方向にどんどん向かってしまったが、問題の本質は日産自動車の取締役会が機能不全を起こしていたということだ。
取締役会の機能の一つは代表取締役の選任だが、代表取締役の監視、牽制が取締役会の重要な機能である。執行は取締役会の付帯的機能であって、取締役相互の牽制が本来の取締役会の大事な機能なのだ。日産の取締役会はこの部分を放棄し、ゴーン前会長を取締役会で監視、牽制していなかった。その事実が全くなおざりになっている。
●各役員の重要な役割は牽制
取締役を辞めさせるのは株主総会の決議事項だが、代表取締役の選任、解任は取締役会の決議事項である。代表取締役であるゴーン氏を取締役会が最後は解任したわけだ。
ゴーン氏は自分自身を代表取締役に選ぶことはできない。取締役の過半数以上の選任で代表取締役は選ばれる。裏を返せば、いつでもクビにできたわけである。つまり、社内調査で不正が発覚した段階で、刑事告訴をするのではなく、取締役会のなかで議論、告発して、解任すればよかったのだ。その正しい手順を踏むことが日産にはできなかった。
ゴーン氏はもちろん悪いが、きちんと職責を果たしていない各取締役にも責任がある。監査役を含めた各取締役が取締役会で牽制をしていないから会社がおかしくなったのだ。ゴーン氏がいなくなっても、そこが改善されなければ日産という会社はよくならない。
刑事責任も含め、諸々の責任を取りたくない西川広人前社長は自分に火の粉が飛ばないように検察と司法取引をした。各取締役も全く責任をとらず、ゴーン氏一人に責任を押し付けた形で、全員が逃げてしまった。彼らは本来、刑事告発を受け、損害賠償をしなければいけない立場である。日産には悪しき土壌だけが残り、致命的な状態となっている。
文責 山田 咲道 公認会計士・税理士
中央区の税理士 エース会計事務所 会社設立できる公認会計士 東京都
よろしければ、ぜひご購読をお申し込み下さい(Presented By )
サイト内検索
〒104−0045
東京都中央区築地2丁目11番9号RBM築地駅前ビル6階(地図)
TEL 03−3516−8941 FAX 03−6740−1328
E−Mail ace@jobtheory.com
URL https://www.jobtheory.com/
会社経営とは 戦う経営ブログ 社長の道!『仕事の徒然草』
前段へ 次段へ
TOP サイト内検索 テーマ別 日付順(No順) 最新号
|