■第710段 グレーゾーンで正しく勝負する
(シリーズ 取締役会とは) 令和4年12月19日
●利益を生むためのギリギリの戦い
上場会社はみな、コンプライアンスのギリギリのところで戦っている。節税か脱税かの税金問題だけではなく、残業問題、ブラック問題などもそうだ。楽天の送料無料化施策「共通の送料込みライン」が下請けいじめに当たるかどうかもギリギリの問題だろう。
なぜ瀬戸際で戦うかというと、グレーのところで勝負しないと利益が出ないからだ。際どいところで戦い、万が一やり方を間違えてしくじると崖に落っこちてしまう厳しい世界だ。それを転がり落ちないように、うまくやっていかなければいけない。リスクをとらずに安全地帯にいては、儲けがなくなり、ビジネスにならない。
しかし、あまりにギリギリのグレーゾーンだと、無理やり黒判定されてしまうケースもある。楽天の送料無料化に対し、公正取引委員会が東京地方裁判所への緊急停止命令の申し立てをしたことなどがその例だ。上手にやれば問題なかったかもしれないところを、立ち回り方を失敗すると、「ジ・エンド」となる。強気に出る戦略ではなく、「がんばりましたので、認めてください」と低姿勢であれば、もしかしたら認めてもらえたかもしれない。雲泥の差だ。ガバナンス、コンプライアンスを守るというのはそういうことなのだ。
●日産の役員は誰もがんばらなかった
日産自動車カルロス・ゴーン前会長は自身の役員報酬を約50億円少なく有価証券報告書に記載していた疑いで逮捕された。「単純に税金を払いたくないから、ごまかした」というのが、事件の根本だ。グレーならビジネスとして成り立つが、真っ黒ではアウトだ。
役員はダークサイドに落ちないように監視し、皆が納得する方向に向かわせなければいけない。税金を正しく払えば、ホワイトな状態だったのだから、役員の誰かが踏ん張るべきだった。しかし、誰もがんばれなかったから、全員が罪に問われるべきである。
普通の健全な上場会社は取締役会で議論し、監視している。日産自動車は悪いガバナンスが何も改善されていないことが問題だ。そういう議論自体にすらなっていない。
「新しく経営者が入ったので、がんばります」というレベルにとどまり、企業体質自体が変わってないからお話にならない。
文責 山田 咲道 公認会計士・税理士
中央区の税理士 エース会計事務所 会社設立できる公認会計士 東京都
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