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第712段 年末の損益クロス取引で税金を安くする
 (
シリーズ バリュー株投資のススメ) 令和5年1月16日

株式投資で得られるふたつの利益

 私が勧めているバリュー株投資は、頻繁に株式売買の取引をしたりせず、ただ長期的に保有して配当をもらい、大きく値上がりしたら売却するというスタイルだ。投資金額はできるだけ大きい方がいい。
 資産を売却(譲渡)したときの損失や利益を譲渡損益という。株式投資を行って利益が出た場合には、その利益の金額に応じて税金を納付する必要がある。株式投資で得られる主な利益は、株式の売却によって得られる譲渡益(値上がり益)と、企業から利益の一部として株主に分配される配当金のふたつだ。

 個人の場合は1月1日〜12月31日の1年単位で譲渡益と配当金を合算し、年間の譲渡益(譲渡所得)を算出する。譲渡益は申告分離課税のため、他の所得(給与所得や事業所得など)と合計せず、分離して税額を計算し、確定申告で税金を納付する。証券会社で「特定口座(源泉徴収あり)」を開設している場合は、原則として確定申告が不要だ。
 譲渡損は税金がかからないため、確定申告の必要がない。ただし、その年だけで控除しきれない損失は、確定申告をすれば翌年以降3年にわたって繰り越すことができる。

税金をコントロールする

 株式の譲渡益、配当金にはともに20.315%(所得税及び復興特別所得税15.315%、住民税5%)の税率が適用される。その税金の流出をできるだけ避けるために有効な手法が、損出し、益出しによって税金をコントロールする年末の損益クロス取引だ。
 たとえば、合計して100万円の売却益や配当などが確定している場合には20万円ほどの税金が発生することになるが、この税金を抑えるために、含み損の銘柄をいったん売却し、後から買い戻すことで含み損を現実化し、損益通算して税金を安くするのだ。

 年末の損益クロス取引といっても、年内最終取引日の大納会ギリギリになってからやる必要はない。株の売買には受け渡し日という時間差もある。できれば、11月中から12月上旬に取引することをお勧めする。損出しを行うにも、できるだけ高く売ることが望ましいし、タイミングを図るには心の余裕も必要だから、早めに用意を始めた方がいい。

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※投資にはリスクが伴います。ご自身の判断で行ってください。
※株の情報は令和4年11月11日現在のものです。
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 文責 山田 咲道 公認会計士・税理士
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