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第8段 営業学の基本
 (
テーマ 売れる営業になる) 平成14年1月21日

●「いくら貸せるのか」「どれだけ貸せる人間なのか」

 営業学の基本は、“貸し”がいくつできるかということだ。「いくら貸せるのか」「どれだけ貸せる人間なのか」を考えなければならない。それでは、実際の“貸し”はどういうものかを見てみよう。登場するのは、Aさん、Bさんと鈴木さんである。

Aさん:携帯電話の販売会社を運営。3万人の名簿を持っていて、「DMを出したい」と思っている。
Bさん:データ入力をしているSOHO。
鈴木さん:Aさん、Bさんの知人。

 鈴木さんが、Aさんから「DMを出したい」と相談された。そこで、鈴木さんがBさんを紹介すると、Bさんは月100万円の売上げになった。鈴木さんは、AさんとBさんの両方に「貸しができた」ということになる。

 AさんとBさんは、紹介した鈴木さんに対しては何もしないのが普通だ。月100万円の売上げになったBさんが、鈴木さんに「紹介してくれてありがとうございました」と感謝の電話を入れるような人であれば、もっとつながりが強くなる。鈴木さんは、「入力が必要な人には、またBさんを紹介しよう」ということも大いに考えられるからだ。

●“貸し”を積み重ねて、返ってくる循環をつくる

 前述したような“貸し"をしても、返ってくる確率は10回に1回程度だ。1回でも返ってくればいい。ただし、鈴木さんが損することはない。別な方向から考えると、Aさん、Bさんは、鈴木さんに対して、悪い印象は持たないはずだ。それぞれ“貸し1”があるから、優位に立つことができる。鈴木さんが何か頼みごとを2人にするときには、助けてくれるはずである。

 どれだけ自分が貸したり、貸されるか――。貸すほうが多いほうがいい。この循環をいかにつくるかが重要だ。本気でやると、お客さんが増えていく。貸しすぎると返ってくるのがこなせないぐらいになる。ただし、お客さんがサービスに満足していることが前提になる。満足しなければ、長続きしない。

 いまの時代、押し込み販売は通用しない。お客さんが本質的に満足して、自然に注文、依頼してくるのが理想だ。そういう状況をつくって、循環させるためには、構造、仕組み、考え方をきちんと押さえておかなければならない。


 文責 山田 咲道 公認会計士・税理士
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