■第121段 税効果会計の本質を知る2
(テーマ 会計を活用して節税する) 平成16年5月17日
●なぜ銀行が破綻するのか
昨年破綻した足利銀行は、前々期も赤、前期も赤、今期も赤。あと5年で黒字に復活できる可能性がないため、積み増していた「繰延税金資産」は一切認めないと監査法人が判断した。「繰延税金資産」が認められないと、一気に債務超過に陥る。
自己資本は、資本金と資本剰余金、利益剰余金などがあるが、利益剰余金は、要するに税効果会計で、利益のかさあげによってできたもの(税効果資本)だから、「繰延税金資産」が認められないと、自己資本がマイナスとなり、債務超過になる。
銀行は、BIS規制で海外業務を続けるためには、自己資本比率が8%以上必要と定められている。国内業務のみであれば4%以上が必要。これを下回ると、「早期是正措置」が発動され、金融庁はその金融機関に対し、業務改善命令や業務停止命令などを出すことができる。「早期是正措置」は、銀行など金融機関の経営破綻を事前に防ぐ目的で導入された。その結果、りそな銀行は国有化、足利銀行は一時国有化が決まった。
●税効果会計の本当の狙い
税効果会計は、利益のかさあげができ、銀行にかかわらず、多くの上場企業がやっている。日本は、赤字の会社のほうが圧倒的に多いから、救済としては効果がある。一方、上場していない、予定もない中小企業は、手間がかかるため、ほとんど行っていない。
税効果会計は、会計上の利益と税務上の利益の食い違いを調整するためのものだが、5年間で黒字になるかどうか判断の余地が入るから、決算書の操作ができる。そのため銀行と監査を行う監査法人の間で大もめになる。
銀行を含めて多くの企業では利益を出したい。利益操作をしたいという狙いがある。利益が多く出ているほうが株価が高くなり、株価対策ができるからだ。粉飾決算は犯罪行為だが、税効果会計を使えば公然と利益操作ができる。ただし、監査法人が将来、利益が出ないと判断した瞬間、税効果会計は使えなくなり、突然、債務超過となり、破綻に追い込まれる。
文責 山田 咲道 公認会計士・税理士
中央区の税理士 エース会計事務所 会社設立できる公認会計士 東京都
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