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第230段 儲けの源泉は見積る力
 (
テーマ 商売の王道を知る) 平成18年6月19日

●あとでは利益は出ない

 いくら景気が悪いといっても、建設業界がなくなることはない。会計事務所というサービス業もなくなることはない。どの業界でも、廃業したり、倒産したりする会社がある一方、伸びている会社もある。それでは、その勝敗のカギを握るのは何だろうか? 

 見積もりをする力である。見積もりの力が強いか弱いかにかかっている。なぜかといえば、見積もりで決定した金額が入り口で決まると、どこまでいっても、それ以上の売上にはならない。利益は後からでは出ないからだ。逆転満塁ホームランという試合は、絶対にできない。

●商売人になれ

 たとえば6万円で受けた仕事が成り立たなければ、赤字だ。予想よりも大変で時間がかかり、途中で値上げ交渉をしても、「最初に6万円で見積書を出しただろう」といわれて、うまくいかない。儲からない仕事を請けたら、財産にならないだけではなく、事務所を維持できなくなる。

 逆に原価が3万円という簡単な仕事でも、10万円で見積書を出して受注できれば、10万円を払ってもらえる。そのために、価格をきちんと決めなければならないというわけだ。

 いろんなプロジェクトが同時進行する中、1つでも損をしたら、意味がない。お客さんの懐具合に合わせて見積書を出し、受注。商品やサービスを提供して、満足してもらうのが、商売人である。

 士業は報酬規定があり、現在では実質崩れているが、長い間、これに守られてきた。士業に限らず、執筆やデザインなどのサービス業では、最初の交渉の際に、お金のことを“ないがしろ”にする人は少なくない。「いくらでもいいですよ」といって仕事を請けるのは、商品を売るのに、価格を決めないで売るようなものである。


 文責 山田 咲道 公認会計士・税理士
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(一言)

 商売の喜びと苦しみが、ここから生まれる。






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