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第269段 経営者と従業員の違い
 (
テーマ 大局から経営を考える) 平成19年3月19日

与える人間、支えられる人間

 経営者と従業員の大きな違いは、従業員は時間労働、経営者は成果労働だということだ。従業員ならば「これだけ働いたから、これだけくれ」と会社にいっても通用する。従業員は会社に雇われ、与えられる人間だからだ。経営者は会社を支え、与える人間である。

 一方、経営者がお客さんに対して「これだけ時間をかけたから、これだけください」といっても通用しない。「だから、何なの? 結果で見せてよ」といわれるだけだ。もっとも、こんな常識はずれのことを口にしたら、挙句の果ては、競合他社に変えられてしまう。

 経営者は、お客さんが満足できなければ、契約解除されるというリスクを常に持っている。従業員も同じく退職するというリスクがある。お客さんや従業員の満足度に大きく影響しているのが、経営者の言動である。満足度を上げるには、経営者は日々努力して、人間の器を大きくしていかなければならない。

 このように経営者と従業員とは、感性や人間の鍛え方がまったく違う。会社を支える人間か、支えられている(依存している)人間かという違いも大きい。経営者は、会社を支えるような人材育成をしていく必要がある。

他人を喜ばせることができるか?

 感性といえば、女性からネクタイをプレゼントされたとき、次回会うときに、そのネクタイをつけていくか、いかないか――。こうしたことは、教えてできるものではない。経営者は、取引先やお客さんにモノを贈ったり、贈られたりすることが日常茶飯事である。贈ってくれた人に喜んでもらおうという感性がないと、会社は大きくならない。

 感性は、自分で磨くしかない。多くの場合、会社に在籍しているよりも、独立開業したほうが苦労する。与えられる人間から、与える人間にならなければいけないからだ。

 精神的に強い人間であれば、踏まれて踏まれて人間の器を大きくすることができる。その間に感性も磨かれていく。そういう人間ならば会社を譲って、任せることもできる。


 文責 山田 咲道 公認会計士・税理士
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(一言)

 感性は、教えられない。






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