■第474段 クラウドサービスの基本的利用法
(テーマ パソコンで情報活用する) 平成24年12月17日
●物理的消失に備える
自社で保有することなく、外部にファイルを預けるクラウドサービスは、IT(情報技術)部門のコスト削減やITリソースの効率利用、事業継続性の観点でメリットが大きい。
火事などの想定外の事故による消失に備えるために、データの物理的な退避先としても活用されている。「自社が火事になり、データがすべて消滅した」という状態を回避するため、バックアップサーバーを自社ではなく、外に置いておくということだ。だが、クラウドに送るのはしょせんはデータなので、火事でパソコンが燃えてしまったときのために、少なくてもセットアップ環境を作っておく必要がある。そのため、私の事務所ではDVDにデータやセットアップ環境を保存し、家に持って帰るようにしている。
メールやウェブサイトなどの単純なデータのバックアップ先であることを超え、業務系のデータやアプリケーション、プログラムをクラウドに走らせるところまでいくと、どれだけうまく使いこなせるかというユーザースキルとともに、クラウド側のデータベースの消失などのセキュリティ面を考慮しなくてはならない。
トラブルが起きたときにきちんと復活できるよう、きっちり保全しておく必要がある。
●多くを見込めない損害賠償
ファーストサーバの事故で消失してしまったデータについて、同社をどんなに責めても、データは返ってこない。「サイボウズ」などでグループウエアを利用していた場合、メール、スケジュール、顧客管理、営業記録などのデータや社内のコミュニケーション資産を丸ごと消失したことになる。
ファーストサーバは「お客様で取得されておられるバックアップデータによる再構築を行っていただきますようお願い申し上げます」「バックアップデータをお持ちでないお客様はコンテンツを作成してください」と顧客に呼びかけたという。顧客はデータをバックアップしていたかもしれないが、サイボウズのグループウエア環境がファーストサーバ上で飛んだ瞬間に運用不能になり、環境設定をゼロから作り直すことになる。
ファーストサーバは損害賠償について約款に基づき、「サービスの対価としてお支払いいただいた総額を限度額」としていて、約款以上に補償を求めることは難しい。金額的な被害がどんなに大きくても、データ消失で会社が負った計り知れない損失は補償されないのだ。裁判の判決により補償される場合でも、お金がもらえるのは遥か先のことになる。
今回の事故は、業者任せでバックアップがない企業は泣き寝入りするしかないということを教えてくれた。
文責 山田 咲道 公認会計士・税理士
中央区の税理士 エース会計事務所 会社設立できる公認会計士 東京都
よろしければ、ぜひご購読をお申し込み下さい(Presented By )
サイト内検索
〒104−0045
東京都中央区築地2丁目11番9号RBM築地駅前ビル6階(地図)
TEL 03−3516−8941 FAX 03−6740−1328
E−Mail ace@jobtheory.com
URL https://www.jobtheory.com/
会社経営とは 戦う経営ブログ 社長の道!『仕事の徒然草』
前段へ 次段へ
TOP サイト内検索 テーマ別 日付順(No順) 最新号
|