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第481段 仕事が遅い[その1:まずはスピードを意識する]
 (
シリーズ お役所しごと番外) 平成25年4月1日

「仕事を速くする」と心がける

 「お役所の病状」として2番目に挙げたいのが、仕事が遅いということだ。仕事というのはまず、早いか遅いかを意識しないといけない。
 『バカ社長論』『ダメ上司論』でも触れているが、スピード経営をつきつめていくと、利益とお客さまサービスが向上する。逆説的に言えば、わざわざ「それをしたほうがいいよ」と言わなくてはいけないということは、それだけ「とろい」会社が多いということだ。
 社長ひとりの会社や担当者だけで仕事が完結するような小さな会社なら、スピード経営をやれなくもないが、ある程度の規模の組織になると実現するのはきわめて難しい。「仕事を速くする」と意識しない限り、絶対に速くならないからだ。

 会社がとろい原因の第一は、社長にスピード経営の意識がなくて、社長自身の思考がとろいというケースである。とろいというのは、のんびりしていて鷹揚ということではなく、経営者としてやるべきことをやっていないことを指す。
「とてもできないと思ったけど、社長の山田が言うなら、やらなきゃいけない」と思わせるような、リードしていく部分が経営者には絶対に必要である。ある意味、無理してでもやっている大事な要素は決して手放してはいけない。会社にとって命とも言えるコアを、採算が合わないからと切り捨てれば、存在する意味を失う。経営とはそういうものである。
 儲からない部分を死守する必要はないが、その場合にはそれにかわる新しいコンセプトを生み出さなければならない。それがないとしたら、その会社と何のためにつきあうのかというストレートな疑問が生まれることになる。

東京と地方の時間感覚の違い

 社長や管理職がとろいと、必然的に社員も会社自身も全体に思考がとろくなっていく。仕事が遅くてもかまわないと思っていると、お役所しごとのように儲からないダラダラ仕事が増えていく。
 東京と地方の感覚の違いが、最もわかりやすい例だろう。当日きた仕事は当日やるのが東京の感覚だが、地方は当日きたら翌日やるという感覚で、時間の流れがゆったりしている。地方に出張に行って仕事をすると、東京がいかに速いかを実感する。

 ブリリアントなランチで昼休みを2時間ほど楽しむイタリア式は、イタリアでこそ通用する。日本の地方も、狭い地域だけの小スケールならやっていけるかもしれないが、日本全国や全世界を相手に、ゆっくりとした時間軸の感覚で打って出ようとしても成功することはできないだろう。


 文責 山田 咲道 公認会計士・税理士
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