■第608段 人間は壊れやすい存在
(シリーズ ブラック問題を考える) 平成30年8月20日
●残業時間は事実上無制限
長時間残業に対価を払わなければブラック企業だが、払えば問題ないのだろうか。労働法制上、36(さぶろく)協定(時間外労働に関する労使協定)を結び、その範囲内であれば、一応ブラック企業ではないとされている。違法な状態の会社をブラック企業と呼ぶとすれば、法律には違反していないからだ。
ただ、月100時間ほどの長時間残業の会社は、対価を払っていても世間一般的にはブラック企業に当てはまるだろう。80時間以上で健康被害との因果関係が認められているため、目標とすべきなのは80時間以内という数値が政府の方向性として示されている。
また、長時間労働ではなくても残業代を払わず、サービス残業を強いれば、労働者から搾取していることになる。時間の長さだけの問題ではない。パワーハラスメントや偽装請負、派遣差別などが横行する会社もブラック企業で、過労死問題に発展することもある。
●仕事ができない人も増えている
なぜ、こんなにもブラック問題が発生してしまうのか。一番のポイントは、人間は壊れやすい存在だということだ。強い人間はひと握りで、大半は負荷をかけると壊れてしまう。その傾向がどんどん顕著になり、いまや弱い人だらけだ。体力・知力・メンタル面など、いろいろなパターンで弱くなり、ブラックな状態に耐えられない。過酷な労働環境でも耐性がある人が昔はいたが、いまは心身や精神を壊して倒れてしまう人が多い。体調が悪くなれば、すぐに病院に行って薬をもらって飲み、薬の量は増えていく一方である。
病気ではなく、普通に仕事ができない人間も増えてきた。そういう人を切り捨てられるほど、会社には人材に余裕がないので、人が集まることによって生まれる不効率を許容していかなければならない。能力がある人ばかりが最高効率で仕事をするわけではないのだ。
優秀な3人なら1日で終わる業務が、人材的に弱いと5人で3日かかることもあるだろう。仕事ができない人の数の方が多いのに、優秀な集団だという前提で仕事を想定していくと、ついていけない人がたくさん出る。予定より業務時間が増え、ブラックな職場になっていく。時代が変わったと理解するしかない。
文責 山田 咲道 公認会計士・税理士
中央区の税理士 エース会計事務所 会社設立できる公認会計士 東京都
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