■第617段 試用期間の注意点
(シリーズ ブラック問題を考える) 平成31年1月21日
●試用期間満了時の雇止めも解雇
従業員の適性を評価し、本採用するか否かを判断するために試用期間を設ける企業が多い。試用期間3か月の場合、3か月経った時点で更新か終了か、どちらかに決めて通知すればいいと思いがちだが、大間違いだ。更新しない場合には、試用期間満了の1か月前、つまり2か月目に予告しないと、更新することになる。試用期間2か月で判断しなければならないということを知らない経営者が多い。
正確に言うと3か月満了時点で辞めてもらうことも可能だ。しかし、1か月前に予告していないため、30日分以上の平均賃金(解雇予告手当)を支払わなければならない。試用期間といえども労働契約は成立しているので、試用期間中および試用期間満了時の雇止めは解雇にあたるからだ。ただし、労働基準法では、試みの試用期間中の者を14日以内に解雇する場合は解雇予告をしなくてもよいとされている。
●通常よりも解雇の自由が認められている
3か月の試用期間を設けた場合、1か月前に予告さえすればやめてもらえるし、解雇予告手当を出せばやめてもらえる。試用期間中の労動契約は「解約権留保付労働契約」と解され、勤務態度が極めて悪い場合など、不適格であると認めれば、それだけの理由で契約を解約できる。通常よりも広い範囲における解雇の自由が認められているのだ。
試用期間は、従業員の適性を判断するための「お試し期間」という性質を持っているが、不安定な地位におかれる従業員への影響などを考慮し、何の理由もなく自由に解雇できるわけではないことも知っておくべきだ。
コンプライアンスという言葉すらなかった昔は、世間もうるさくなかった。いまでもコンプライアンス意識が低い中小企業が見受けられるが、ある一定規模以上の上場会社クラスになると、コンプライアンス違反をするとどうしようもない。就業規則の不利益変更や不当解雇など、労働基準監督署に駆け込まれたら、上司や担当役員は責任を問われる事態に発展しかねない。
文責 山田 咲道 公認会計士・税理士
中央区の税理士 エース会計事務所 会社設立できる公認会計士 東京都
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