■第616段 不当解雇はできない
(シリーズ ブラック問題を考える) 平成31年1月7日
●解雇の予告は30日前
使用者は労働者を解雇しようとする場合、少なくとも30日以上前に予告するか、30日分以上の平均賃金(解雇予告手当)を支払わなければならないと労働基準法第20条に定められている。ただし、経営不振などの経営上の理由による整理解雇、いわゆるリストラは別として、客観的に合理的な理由か社会通念上相当性がなければ解雇はできない。
不当解雇で有名な事案として「高知放送事件判決」という最高裁判決がある。宿直のアナウンサーが寝過ごしてラジオのニュース放送に穴をあけるという事故を2週間に2度起こしたために解雇された事案だが、諸々の事情を考慮し、解雇は無効と判断された。損害賠償を請求したいほどの大ミスを2回やっても不当解雇にあたるのだから、会社の立場は弱い。
●退職の申し出は14日前
一方、労働者側は民法上、退職日の2週間前までに申し出ればいいことになっている。会社としては2週間前に退職したいといわれても、新たな社員の採用などを2週間で行うのは難しい。「残り2週間で有給消化します」となれば引き継ぎもできず、お手上げだ。
そこで、会社の就業規則に、「退職する場合には退職希望日の3か月前までに申し出ること」などと規定することが重要だ。会社の裁量で決められる就業規則と、法律である民法では、民法が優先され、就業規則で3か月前と規定しても強要はできない。しかし、就業規則の規定通り、3か月前に申し出るように言い続けることが大切だ。
もっと具体的な対策を述べると、2週間前に申し出た人には退職金を払わないことにすればいい。3か月前なら100パーセントの退職金を払うが、1か月前なら半分、2週間前ならゼロと、差をつけるのだ。
できればやめてもらいたくないし、引き継ぎもきちんとやってほしい、退職金もしっかり払いたいから、就業規則の規定に基づいて3か月前に申し出て欲しいと、会社の姿勢を従業員に周知していく。労働法制を熟知し、その矛盾や歪んだ部分を就業規則に落とし込み、補って整備していかないと、会社は成り立たなくなる。
文責 山田 咲道 公認会計士・税理士
中央区の税理士 エース会計事務所 会社設立できる公認会計士 東京都
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