■第684段　どう事業承継するか
　（テーマ　大局から経営を考える）　令和３年１１月１５日

●優秀な税理士を採用できない時代

　税理士が２人辞めたから、入れ替えで経理の女性が２人入った。私の負担が重くなっているが、お客さんは顧問料が変わらずにサービスの質が上がって喜んでいる。
　新しい人材は成長していけるから教えがいがあって楽しい。前の税理士はスキルはあったが、成長限界に達していてジレンマがあった。固定観念にこり固まっていると、万事が万事だめになっていく。時代とともにスキルアップして変わっていかないといけない。

　少子高齢化の時代になり、税理士志望者が減っている。働き方改革で楽ちん人生が奨励され、どこでも就職できて給料が出るので、みんながんばらなくていいからだ。
　優先的にいい人材をとれる大手と違い、いまは優秀な税理士を採用するのが難しい。自社で後継者を育てるより、ゆくゆくは外部の優秀な税理士か会計士に職員ごと事務所を引き取ってもらうのが現実的だ。自分もＭ＆Ａで２つぐらい事務所を引き取ったことがある。一般的な中小企業の場合は外部の人に委ねるより、中で人材を育てていくのがいいだろう。

●スキルを育てるのは難しい

　士業は知識とインテリジェンスの特殊な世界だ。優秀な人は最初から才能がある。育ててスキルができるわけではなく、可能性の部分も含めて潜在的にスキルを持っている。一生懸命勉強しても東大に行けない子はいるし、どんなにトレーニングしても早く走れない人がいるように、スキルを育てるのは難しい。トーマツの後輩には会計事務所を引き継ぐぐらいのスキルのある優秀な候補が大勢いる。そういう人に渡していくと全体効率が高い。

　定年退職しなくていいので、やれるところまでやれるのが、この職業のメリットだ。ボケたり、歩けなくなったり、新しいものを吸収できなくなったりすれば問題だが、早くても６５歳まではできるだろう。現役寿命は７０歳ぐらいが限界ではないだろうか。
　お客さんは物ではなく人に、仕事は組織ではなく私についているから、力のない人に引き継いだら事務所は破綻する。最初は私の顔を立てて契約を継続してくれるとしても、力がなければクライアントはいなくなる。私が顧問として２、３年引き継ぎ、いい形を構築できるのが最も望ましい。どうしてもうまくいかなければ、やめてしまうしかない。


　文責　山田　咲道　公認会計士・税理士
　中央区の税理士　エース会計事務所　会社設立できる公認会計士　東京都

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