■第708段 不正を許さないのが本来の会社法
(シリーズ 取締役会とは) 令和4年11月21日
●監査役一人で代表取締役を解任できる
私は何社も監査役を引き受けている。もし私が日産自動車の監査役であれば、カルロス・ゴーン前会長を私一人でクビにすることもできた。監査役の権利はものすごく強く、取締役会で解任しなくても、裁判所に対して代表取締役の解任の申し出が一人でできてしまうのだ。
会社法では代表取締役を取締役会で解任することも可能だし、監査役会ではなく監査役たった一人で解任訴訟ができる。今回の日産のケースではイレギュラーな事態に発展したが、会社法の仕組みはもともと、ゴーン氏が行ったような不正をさせられないように作られている。
ゴーン氏がトップで、私が監査役だとする。代表取締役を解任しようとすると、いろいろな意味でものすごくプレッシャーがかかることになる。そのプレッシャーに耐えられるかどうかが問題だ。
大勢で受け止められればいいが、一人だけで立ち向かわなければならない場面もある。ゴーン氏の主導により、子飼いで固められた日産の役員会には、そんな人物が一人もいなかったということである。
●責任をとらない役員たち
会社法では、緊張感を保てる人物を取締役、監査役にしていかなければいけないことになっている。ルノーから来ている人や外部の取締役など、いろいろな利害があり、最初からゴーン氏の子飼いだったわけではないだろう。
自分も責任を免れないと考えれば、役員それぞれは本来やるべき仕事をするはずだった。しかし、今回のように、法の手を逃れられる悪しき前例をつくるのは非常にまずいことだ。
「自分は無罪」というイメージ戦略も含め、西川広人前社長は上手に立ち回り、捜査に協力する見返りに刑事処分を軽くする司法取引で逃げてしまった。名前も知らない取締役を何人も捕まえるより、検察はゴーン氏のような大物を捕まえて手柄を立てたい。他の役員も免罪となり、取締役会の機能不全が議論されないまま幕を閉じてしまった。
文責 山田 咲道 公認会計士・税理士
中央区の税理士 エース会計事務所 会社設立できる公認会計士 東京都
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