■第133段 時流は、本社売却
(テーマ 大局から経営を考える) 平成16年8月9日
●銀行は決算書のどこを見るか
決算書の中で、銀行が重視しているのはキャッシュフロー、自己資本、自己資本比率の3つ、そしてキャッシュフローに基づく借入金の返済余裕額。これを審査基準にして銀行が採点し、点数のいい会社に融資している。
このなかで、キャッシュフローはキャッシュフロー計算書で開示することになるが、作成義務があるのは上場企業のみで、それ以外の企業は作成する必要がない。キャッシュフローは決算書からは判断できない。
もっとも重視されているのは自己資本比率。日立製作所が本社ビルを2003年3月に売却、みずほコーポレート銀行も本店を2003年12月に売却したのは、自己資本比率を高めるためだ。生き残るために本社を売る。資産をどんどん売却する。それも倒産しそうな会社が資産を売るのではなくて、優良な会社がやっている。
●資産圧縮による借入金返済
本社が50億円で売却できたとして、売却前と売却後を貸借対照表で説明しよう。資産(総資産)=負債(他人資本)+資本(自己資本)だから、自己資本比率=資本÷資産になる。
本社売却前 本社売却後
┌―――――――――――┐ ┌―――――――――――┐
│ │ │ │ │ 負債 │
│ │ │ │ 資産 │ 30億円 │
│ │ 負債 │ │ 50億円 ――――――
│ 資産 │ 80億円 │ │ │ 資本 │
│ 100億円 │ │ → │ │ 20億円 │
│ │ │ └―――――――――――┘
│ ―――――― 自己資本比率は
│ │ 資本 │ 20億円÷50億円=40%
│ │ 20億円 │
└―――――――――――┘ 本社を売却すると自己資本比率が上がる
自己資本比率は
20億円÷100億円=20%
売却代金50億円は、借入金(負債)の返済に当たることができるから、負債が30億円に下がり、自己資本比率が上がる。自己資本比率が上がると、新たに借りる運転資金の調達レートも下がり、金利差で利益も出る。
このことは、本社売却に限らず、在庫圧縮、株式等有価証券の売却によって借入金を返しても、同じことになる。
さらに、1億円の利益が出れば、その分の資本(自己資本)が増えることになるので、資本は21億円になる。黒字→資本拡大→黒字→資本拡大……という良い循環を生み、黒字体質の会社にすることができる。
文責 山田 咲道 公認会計士・税理士
中央区の税理士 エース会計事務所 会社設立できる公認会計士 東京都
よろしければ、ぜひご購読をお申し込み下さい(Presented By )
サイト内検索
〒104−0045
東京都中央区築地2丁目11番9号RBM築地駅前ビル6階(地図)
TEL 03−3516−8941 FAX 03−6740−1328
E−Mail ace@jobtheory.com
URL https://www.jobtheory.com/
会社経営とは 戦う経営ブログ 社長の道!『仕事の徒然草』
前段へ 次段へ
TOP サイト内検索 テーマ別 日付順(No順) 最新号
|