■第373段 儲かる会社29 儲かる会社の社長は湛然としている
(シリーズ 儲かる会社、儲からない会社) 平成21年3月16日
●社長が取り乱したら、どうなるか
上杉謙信(前・長尾景虎)の成長過程を描いた『天と地と(上中下)』(海音寺潮五郎著、文春文庫)。その中に次のようなシーンがある。父・為景亡きあと、長尾家当主として春日山城にいる兄・晴景。彼を隠居させることになる戦さの最中、敵方の三条に柏崎和泉がいると家臣2人が景虎に伝えに来たときの話だ。少し長いが引用する。
●「主将がいつも湛然たる顔容でいてこそ可能」
(今はもう春日山へのおさえはいらんというわけだな)
と、景虎は判断した。柿崎の猛勇は十分に用心する必要があるとは思ったが、まるで表情を動かさず、「そうか。おれも音に聞く柿崎の戦さぶりをはじめて見るわけだな」 とだけ言った。
中国思想史の説くところでは、刑名法家の説も、兵家の説も、その源流は老荘虚無の説にあるという。両者ともに心理分析を根本とする譎詐(けっさ)の術であるが、そのためにはこちらの心は人に見すかされず、人の心は明白に見すかす必要があり、それには先ずこちらが虚無らしく見せかけることが最も効果的であるからだ。有るものは見ることが出来るが、無いものは見ることが出来ないからである。武将の重要なる資格の一つが喜怒哀楽を顔に出さないことにあるというのも、このためである。兵の心理の動揺は兵家の最も忌(い)むところだが、主将が露骨に感情を顔に出しては、兵の心理は動揺しないわけには行かない。敵の強を見ても恐れる色なく、弱を見ても侮(あなど)る色なく、深沈たる面持で主将がいてこそ、兵は確然として不動の心で十分の戦闘力を揮(ふる)い得る。合戦にあたっては敵をあざむくことは常に必要であり、場合によっては味方もあざむかねばならないが、これも主将がいつも湛然(たんぜん)たる顔容でいてこそ可能なのである。
景虎が年少の身でありながら、十分にその心掛を体得しているのを見て、二人はうれしく思ったが、なお言った。
「柿崎は絶倫の剛の者でございます。一応のご工夫あるべきであろうと存じてまいりました」
「考えよう」
短く答えて、空を仰いだ。真青に晴れた空には十時頃の朝日が行きわたり、綿のように白く薄い雲が悠々とわたっている。(『天と地と(中)』P172-173)
文責 山田 咲道 公認会計士・税理士
中央区の税理士 エース会計事務所 会社設立できる公認会計士 東京都
(一言)
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