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第470段 「貧富の隔たりは心得一つ」
 (
シリーズ 遠きをはかる) 平成24年10月15日

ロングスパンで事業計画を設定する

「貧者は昨日のために今日勤め、昨年のために今年勤める。それゆえ終身苦しんでもそのかいがない。富者は明日のために今日勤め、来年のために今年勤めるから、安楽自在で、することなすことみな成就する」『二宮翁夜話(上)』(福住正兄原著:佐々井典比古訳注)に掲載されているのことばである。

 社長たるもの、目先のことだけに重きをおくのではなく、5年先、10年先といった中長期的なスパンで戦略的に事業計画を練り、お金と時間をかけて実行していかなければならない。具体的な経営計画で考えてみると、まず「1年」があり、「中期(3〜5年)」「長期(7年〜10年)」「一生(人生)」となる。短期の目標は設定しやすいが、ロングの目標になればなるほど設定しにくいものだ。

ポジションや価値観に応じて目標を見直す

 1年の経営計画は当然として、最低でも3〜5年先の中期目標を想定して、現在の行動に反映していくべきである。そうしないと日々の忙しさに流されてしまい、目の前の金は稼げても付加価値がどんどん落ちていくという状態に陥る。クリエイティビティがなくなれば、会社は危うくなっていく。できれば7〜10年くらい先の長期的スパンで将来をしっかり考え、日々行動していくのが望ましい。

 難しいのは、そのときどきのポジションや年齢によって価値観が変わっていくことだ。何かをクリアしてステージが上がり、次にまた違う何かをクリアする、という成長とともに、価値観も変化していく。

 ある程度お金がないと見えないものもたくさんあるし、社会的なポジションを得たからこそ気づくことも多数存在する。世の中の理(ことわり)を理解できて初めて、自分のやるべきことが新たに出現してくることもある。だからその都度、設定した目標を見直すほうがよい。ただ、いずれにしても自分のやるべきこと、やりたいことは、すぐには実現しない。長く地道にやっていく覚悟が必要である。


 文責 山田 咲道 公認会計士・税理士
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