■第479段　会議が長い[その３：正しく時間の価値を知る]
　（シリーズ　お役所しごと番外）　平成２５年３月４日

●ヒマな人が長い会議を開く

　会議の価値を正しく理解している人ほど、頻繁に会議をしないものである。自分が事前に練っておくべきことなど、会議のための準備に時間がかかるとわかっているうえ、その時間を捻出するのが難しいからだ。「会議をしよう」と気軽に言うのは、会議の価値がわからない人である。
　有能な人が仕切る会議は短い。なぜかというと、自分自身が忙しくて時間の大切さを知っているからである。他の人にも多大な時間を使わせたくないから、最大のパフォーマンスをあげようと心がける。そうすると当然、会議が短くなる。

　逆に、長い会議を仕切る人は時間の価値をわかっていないということだ。自分の仕事がなくて暇な人が業務を作るために会議をする、周りを巻き込む、というのは、まさにお役所しごとである。
「（暇だから）ちょっと麻雀つきあってくれよ」「（ヒマすぎて）飲み会やるから来い」と電話するのと同じ感覚と言えるだろう。それも、前日ではなく当日に誘うといった気楽さで会議を開き、何の準備もしていないのでは、出席者はたまったものではない。他の人の貴重な時間を使うという感覚が完全に欠如している。

●犬かきで泳ぐ意味

「とりあえず集まって、何か話さない？」「今月の大掃除のこと、みんなで考えよう」という集まりでは、確かに形上、仕事はしているかもしれないが、中身は何もない。世の中にはそういう空虚なことをしがち、あるいはしたい人がいるが、会社の全体効率が落ち、結局は赤字会社になって、うまくいかなくなるのがオチだ。
　会議を招集できるくらいの高い立場の人が、同じように高い給料の人を集めて会議をする場合にはさらに、それなりのパフォーマンスを出さなくてはいけない。高い会議代に見合った価値ある結論を導き出せるかがカギとなる。

　上司が会議をやると言えば、部下は「無駄だからやめましょう」とは言えない。だから上司は無駄な会議をやっていることに、ずっと気づかないことになる。
　一生懸命、犬かきで泳いでいる上司に、「お前も犬かきしろよ」と命じられ、「クロールの方が速いのになあ」と思いながら、一緒に犬かきをさせられている状態になる。こういうスタイルが身について誰も疑問に思わなくなると、おめでたいことに、会社が倒産するまで気づかないことになる。

　文責　山田　咲道　公認会計士・税理士
　中央区の税理士　エース会計事務所　会社設立できる公認会計士　東京都

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