■第485段 上司の言うことが通らない[その2:経営の意志を組織に通すために]
(シリーズ お役所しごと番外) 平成25年6月3日
●従わない側にも理屈がある
上司の言うことが通らなくても組織が機能するくらい、はっきり言って日本の会社はぬるい。軍隊だったら絶対にありえないことで、理想の組織からはほど遠いことになる。私は相談役など立場で何社かの役員をやっている。経営陣の意志が社員にきちんと通じるように、ゆっくり着実に行動するように指導しているつもりだ。
たとえば、私の事務所では、社員の机の上が汚くて困っていた。「お客さまが来たときに、かっこわるいから片付けろ」と何回文句を言っても、ずぼらな男性社員が多く、一向に片付けない。それをいかにやらせるか、経営の手腕が問われるところである。
まず、こちらも多少は譲歩し、猛烈に忙しい月中は散らかっていても仕方がないと認める。そして、月初めの1日に掃除をさせることにした。1日の午前中に事務の女性にチェックしてもらい、ダメ出しした部分を午後に直してもらう。そして、翌日に私が確認することにしたのだ。「忙しい」「業務より掃除を優先してもいいのか」など、向こうのほうにも片付けない理屈があるので、頭ごなしに言ってもうまくいかない。
●権威を振りかざしても人は動かない
机の上に書類を山積みにしたまま帰る社員に対し、「汚いから何とかしろ!」と爆弾を落とすより、「個人情報が出しっぱなしなのは問題だから、どんな状態でもいいから書類を引き出しに入れてくれ」「いつ抜き打ち検査があるかわからないから、パソコンはキャビネットにしまうように」と理由を明確にすれば、言われた側は納得し、たとえ面倒でもやるものである。怒ったり説得したり宥めたりすかしたりして相手を意のままに動かそうとするより、よっぽど簡単である。説教するという行為には、それほど意味はないのだ。イソップ寓話「北風と太陽」を思い起こしてほしい。
経営の意志を組織に通す方法はひとつではない。相手にとって心地いいやり方をすれば、「やらなくちゃ」と自ら行動させられることもある。立場が上だというだけで勘違いし、「俺の言うことを聞け」「俺は部長だから偉いんだ」と権威を振りかざして意志を通そうとすると、かえって人は頑なになる。あるいは、「わかりました〜。でも僕、力不足でできないんです〜」「今日は残業で死んでます〜」と、かわされることになりかねない。「今日はお通夜で」「今日は妻が病気で」「今日は腹痛で」「愛猫が病気で」など、その気になれば、やらない理由はいくらでもつくれる。クビにはできないから、開き直られたらどうしようもない。
上司側には自分の意志を通す能力が必要になる。経営の意志をいかに組織に浸透させるかは、経営の永遠のテーマである。
文責 山田 咲道 公認会計士・税理士
中央区の税理士 エース会計事務所 会社設立できる公認会計士 東京都
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