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第524段 いまどきの社長の仕事
 (
テーマ 商売の王道を知る) 平成27年2月16日

無難に丸く収めたがる担当者

 いまの時代、社長のやるべきことは、徹底したエラーの修正である。
 先日、妙なことをいう顧客に対し、「活を入れるために電話しろ」と担当者に命じたが、翌日になってもまだ連絡を入れていない有様だった。コミュニケーションをとるのが苦手で、交渉することが下手なのだ。自分なら即刻契約解除にするような内容を耳にしたため、連絡するよう命じたのだが、担当者はいかにトラブルに発展させずにやり過ごそうかと思っているので、連絡ができないのだ。
 担当者は経営的な観点からは物事を考えられない。全体を見渡して判断する経営者とは立ち位置、スタンスがまるで違う。

 また、「不備を指摘する書類が税務署から来た」と顧客から言われた担当者がいる。よく聞くと、「『提出すべき書類がないので、すぐ提出するように』と税務署から連絡があった」と、申告ミスを指摘するメールが顧客から来たという。しかし、こちらに不備はなく、税務署のミスだったため、「お詫びして訂正するよう、税務署に電話しろ」と担当者に命じたが、やらない。プロである税理士に対してならともかく、一般の納税者に間違った文書を送ってしまうことには問題があるから、訂正文書を送ってもらえと再度命じても、そのままだ。自分に落ち度があったかと弱気になり、自信がないのか、保身に走ってしまう。クライアントに対して示しがつかないとしても、担当者は丸く収めたいのだ。

経営者の意思を末端まで通す

 こうして、社長の私が考えていることは、なかなかそのまま実現されない。
 困ったときにはすぐ相談してくれればまだいいが、相談機能が個々人にない。相談してくれるタイプは伸びていけるが、無視して勝手にやってしまう人の方が多い。ルールがわからないまま、質問もしないで突っ走る人は、どこに向かって行くつもりなのか不思議としか言いようがない。何回教えてもできず、能力的に無理な人もけっこう多い。

 つまり、確信犯的にやらない人と能力的にできない人、もともと理解できていない人など、いろいろなレベルで日常的にエラーは起きる。経営者の指示が守られないということは、極論すれば、給料を稼ぐためだけに仕事をしている人が多いということだ。面倒なことはできるだけ避けたい、早く帰りたい、仕事はやりたくない、そういう感覚である。
 経営者の意思を末端まで機能させられれば、経営者自身が末端の仕事をしているに等しいことになる。そうできる経営者のスキルは高く、生き残っていくことが可能だ。意思が浸透せず、担当者がそれぞれ勝手なことをやっていたら、会社はうまくいかない。


 文責 山田 咲道 公認会計士・税理士
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