■第624段 危機管理はなぜ必要か
(シリーズ 不祥事の危機管理) 平成31年5月6日
●対応を誤ると倒産リスクが生じる
昨今はリスク管理の大切さが疎かにされ、恐ろしい様相を呈している。日本人は、現代が歪んだ状況になっているという自覚に乏しく、本当に困ったことだと思う。
危機管理にはいろいろなパターンがあり、例えば「地震が発生したときのための非常食をどう備えるか」などということもその一環だが、今回、シリーズで解説する「不祥事が起きたときの危機管理」は、自然災害対策とは本質的に違う。不祥事の発生が危機に結びつくことが理解できずに対応を誤るケースがいまの世の中には多く、その傾向は今後加速していくはずである。
私が上場企業で役員を務めていたときに、危機管理のコンサルティング会社が役員会でレクチャーした考え方や対応方法は非常に納得できるものだった。不祥事が起きた場合に危機管理がなぜ必要か。企業に倒産リスクがあるからだ。なぜ倒産するのか。一言でいうと客が来なくなるからだ。なぜ客が来なくなるのか。
不祥事で潰れた一番わかりやすい企業例として、「船場吉兆」を思い起こしてほしい。「吉兆」グループ企業のひとつだった、大阪の老舗料亭である。
●「船場吉兆」は生き残れたか
2007年、賞味期限切れの惣菜などの食品の販売や原材料の産地偽装、料理の使い回しなどの不祥事が相次いで発覚し、大騒動を起こした「船場吉兆」。同年12月に開いた謝罪会見で、記者からの質問に答えられずにいた取締役を助けようと、名物女将である母が隣で、「大きい声で」「記者の目を見て」などとコソコソと囁く姿が世間をにぎわせた。この「ささやき事件」の後も経営を続けたが、一度失った信頼は取り戻せず、客足が途絶えて店が成り立たなくなり、負債が8億円ほどに膨らんで2008年に倒産した。
しかし、この危機に正しく対処していれば、「船場吉兆」は生き残れたかもしれない。真正面から世間に向き合うことはもちろん、重要なのはマスコミへの対応だ。それを誤ると、企業は倒産させられる可能性がある。そこさえ理解できていれば、対応は変わってくるはずだ。不祥事のたびに間違った対応をしていては、状況は悪化するばかりである。
文責 山田 咲道 公認会計士・税理士
中央区の税理士 エース会計事務所 会社設立できる公認会計士 東京都
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