■第628段 風評被害:女子レスリング編
(シリーズ 不祥事の危機管理) 令和元年7月1日
●告発されれば、パワハラは成立
女子レスリングの世界では、風評被害がずっと続いている。いまの状態では女子レスリングは魅力に欠け、選手になり手がいなくなる。たとえやってみたいと思ったとしても、「パワハラを受けるから、女子レスリングなんてやめたほうがいいよ」と周りから反対されかねない。危機管理を正しく行わないということは、ボロボロになっていく状態をよしとして放置しているということだ。
パワハラは告発されるだけで成立してしまう。受けた側の感覚なので、事実として表に出れば、実際に行ったかどうかはもう関係がない。完全にクロになる。パワハラやセクハラの定義がそういうものだからだ。「パワハラをした・しない」、あるいは「危険行為を指示した・しない」というのは、客観的に証明できることではない。内閣府の第三者委員会の客観的評価も情報に限界があり、完全にシロなのかクロなのかは誰にもわからない。
●全体証拠が判断の決め手となる
女子レスリングには大きなパブリシティの力がある。だからこそ、これまで培ってきた輝かしい競技の歴史を潰す責任は重い。全日本女子強化本部長でありながら、至学館大学のレスリング部監督だった栄和人氏によるパワハラ問題が発覚した当初、谷岡郁子学長は監督を擁護していたが、そのせいでかえってマスコミ的に話が面白くなってしまった。
学長はすぐに監督を辞めさせるか、「私は疎いからわからないが、体調が悪いので本人を休ませている」とだけ言っていればよかった。「やっていないと信じている」などと言うのは論外だ。もっと言ってしまえば、告発される事態を起こしただけで責任問題である。
客観的な証明が不可能となると、判断は個々人がそれぞれ行うことになる。世の中の考えや感情はコントロールできず、最後は「全体証拠で見たときに、どちらが正しいか」という世間の客観評価で勝手に判定され、世の中の流れが決まっていく。それが怖いところだ。実際にパワハラ行為があったかどうかという実態以前の問題として、業界は存続の危機を迎えてしまった。しかし、当事者がそのことに思い至っていないことが大いなる問題といえるだろう。
文責 山田 咲道 公認会計士・税理士
中央区の税理士 エース会計事務所 会社設立できる公認会計士 東京都
よろしければ、ぜひご購読をお申し込み下さい(Presented By )
サイト内検索
〒104−0045
東京都中央区築地2丁目11番9号RBM築地駅前ビル6階(地図)
TEL 03−3516−8941 FAX 03−6740−1328
E−Mail ace@jobtheory.com
URL https://www.jobtheory.com/
会社経営とは 戦う経営ブログ 社長の道!『仕事の徒然草』
前段へ 次段へ
TOP サイト内検索 テーマ別 日付順(No順) 最新号
|