■第634段 危機管理の対処法
(シリーズ 不祥事の危機管理) 令和元年10月7日
●がんばってはいけない
印象的だった記者会見の一つに、2014年の「号泣会見」がある。嘘の収支報告書を提出し、政務活動費約913万円をだまし取ったとして、詐欺罪などに問われた元兵庫県議、野々村竜太郎被告の釈明会見だ。不明瞭な支出を記者団から追及されると、明言を避けながら、机を叩いて号泣した。辞めたくないという欲があるから、人に相談せず、現状受け入れを拒否して、記者会見をしたのだ。最初から辞めてしまえば、記者会見で恥を晒す必要はなかった。どんなにがんばっても世間が許すはずがない。その客観的な判断をしくじっている。野々村被告はのちに有罪が確定した。
セクハラ問題で議会から不信任決議を受けた群馬県みなかみ町の前田善成町長は、議会を解散して対抗したが、町議選で惨敗して辞職した。2018年5月にセクハラ問題が浮上して約4か月も続投を表明してきた結果である。セクハラ引責は否定したが、妙にがんばってしまったことが群馬県自体の風評被害に繋がり、県のイメージが悪くなってしまった。
●マスコミを沈静化する
本来、「どう謝るか」だけがテーマになるはずだが、その手前の段階で、「謝りたくない」「謝る必要がない」「俺はやっていない」という話になると一歩も進まない。「すみません」「煮るなり焼くなり好きにしてください」と言ってしまえば、もうそれ以追及されることもなく、記事にならない。そうなれば、少なくとも風評被害は収まるのだ。
マスコミの食いつきがいいかどうかは、他にどれだけ大きい話題があるかのタイミングや運によるが、基本的には「どれだけ面白いか」だ。面白ければ、報道が過熱する。
私がいま注目しているのは、中央省庁の障害者雇用水増し問題だ。発覚後、大臣ら各機関トップから謝罪の言葉が相次ぎ、加藤勝信厚生労働相が記者会見で頭を下げているため、危機管理的にはそれなりに収まり、マスコミとしては面白くないモニタリングの世界だ。「役所が嘘をついていました、すみません」と言われたら、「あとはがんばってフォローします」という展開にしかならない。障害者雇用には非常に難しい側面がある。お役所は当分、クリアできないだろう。どう落とし前をつけるのか見守っていきたい。
文責 山田 咲道 公認会計士・税理士
中央区の税理士 エース会計事務所 会社設立できる公認会計士 東京都
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