■第744段 信用力が低下した楽天グループ
(テーマ 会計を活用して節税する) 令和6年5月20日
●楽天の債券利回りが10%超え
2022年11月30日、楽天グループはドル建て社債を発行し、その利回りが驚くことに10%を超えていて話題になった。2019年に発行した社債は3%台だったから、発行コストは大幅に上昇したことになる。通常の上場会社が金利0.5%ほどで金融機関から融資されている時代に、同じ上場会社の楽天グループが金利10.25%という高利の社債を発行することになったのは、信用力がなく、ジャンクの格付けをされているせいだ。
楽天グループは新規参入した携帯電話事業で不振が続き、2022年に過去最大の赤字を叩き出した。S&Pグローバル・レーティングは昨年12月に楽天グループの格付けを「BB+」から「BB」に引き下げた。資金繰りが不安視され、財務状況の悪化に伴って信用力が低下したのだ。株価は2022年始めに比べて半値近くまで落ち込んでいる。
●苦戦する楽天モバイルの資金調達
楽天モバイルはプラチナバンドの再割り当てを総務省から付与されたため、プラチナバンド用のアンテナを既存の基地局に設置し、さらに基地局数を増やしていく必要がある。楽天グループは設備投資の事業資金を手当てするため、資金調達を急いでいて、高利の社債発行など借入金に頼る状況だ。10%の社債はほぼ高利貸しからの借金と変わらず、いかに資金繰りが厳しいかがわかる。楽天銀行や楽天証券の預け金が楽天グループで使い込まれていくリスクもあるだろう。
2024年から始まった新NISA(少額投資非課税制度)に向けて、SBI証券に続いて楽天証券も国内株式取引手数料を完全無料化したが、儲かっていないのに無理がある。楽天市場自体は好調で、楽天ポイントの仕組みもうまくいっていたのに、その付与条件が改悪されてしまったので、ユーザー離れが進んでいくだろう。どう考えてもマーケティング的におかしいし、楽天証券には体力がないので、SBI証券とのバトルに一方的に負ける可能性が大きい。楽天経済圏の崩壊は時間の問題かもしれない。会社の信用は、企業の存続を左右するほど大切なものなのだ。
文責 山田 咲道 公認会計士・税理士
中央区の税理士 エース会計事務所 会社設立できる公認会計士 東京都
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